美術の授業を通して身につけたこと(その2)

秋田の黒木先生の授業(高校)を受けての感想

平成9年度年度終了時 授業感想(美術選択全1年生)


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以下、高校生の言葉


T.S
 
 私達のとる行動はしばしば「最近の若いモンは・・・」という言葉でかたづけられがちである。しかし「若者の頭をまたぐな」という諺もあるように、その「若いモン」の感性こそ必要ではないか、と私は考える。世の中に抑圧されて生きて、感性の芽をつみとられて、その結果が現在の青少年の非行ではないだろうか。しかし、そ んな時、黒木先生の美術の授業では「世界初かもしれない」という斬新さもあり、私達の思いを曲げることなく一筋の光のようにまっすぐと発揮できたのである。つまり、この乾ききった砂漠のような学校生活、社会生活に潤いをあたえてくれる、黒木先生の美術の授業とはそのようなものであったと私は確信している。一年間本当 にありがとうございました。



よう
今までやったことのない授業なのでビビリました。まず黒木先生の授業は、今までにない独創的な授業でとてもおもしろかったと思う。しかし、美術室の環境が貧しく、思ったように作業ができず、苦労した。今後はもっと美術をもっと作業しやすいように作りかえてもらい、先生の独創的な授業をすれば、すばらしい授業になると 思う。あき教室が狭かったので限られたものしかできなかったので残念だが、いろいろやれて楽しかった。最後の授業で「絵は読むものだ」と言った時ビックリした。いままでの絵の見方を僕は間違っていたかと思った。また黒木先生が絵の説明をしている時の目はとても光っていたと思った。一年間ありがとうございました。
けん
1年前、芸術の選択を考えたとき、「音楽の授業は歌わなければならないだろう。それだったら私は絵を描くのが苦手だが美術にしよう。」というあまり意欲的でない考えで選択してしまった。入学してから授業を受けていくうちに「あれ、これが芸術の授業なのか」ということがたびたびあった。先生はしばしば「机は動くから絵 は描けない。作品を作っても置く場所がない。教室が狭すぎる〜」とぼやいていた。しかし、それが絵の下手さNo.1と自負している(折り紙つきかもしれない)私にとってはとても感謝すべきことであった(私は悪い子です)。特に印象に残っているものにCM制作がある。覆面(横手市のゴミ袋)をかぶったSが敵アジトに潜入 してウーロン茶を盗んでくるというわけのわからないものだった。幸いなことにみんなには好評だったが、映写会の後におもしろいアイディアが次から次にうかんできて、なぜこんなふうにできなかったのか、後悔の念にふけっていた時期もあった。一年生の一番思い出は、と聞かれたらおそらく「芸術のCM制作」と答えようと思 う今日このごろである。結局、芸術にすぐれているというのは、ただ単に絵がうまいだけでないことがよくわかったというよりもむしろ、先生が常に私達生徒に知らせていたのではないかと思います。最後に、美術室が狭いとぼやいていた先生に物申す。あの美術室を悲観しないでくれ。少なくとも私は、秋田県立横手高等学校3階 音楽室隣りにある教室で、世界で初めて行われる授業を受けることができて感動している。今年入学する新一年生にもあの興奮を教えてやってください。

のり
最初は何をやるのかとても楽しみだった。美術室の前に大きな額の絵などがあったので絵を描くのかなとか、彫刻をするのかなとかいろいろ思った。でも実際はもっと楽しいものをやった。アイディアを必要とするものが多かったように思える。今思うと、美術の時間は苦ではなかった!1時間目から美術の時はいつもより達成感が あった。スケッチブックもフルに使えたと思う。授業の他に、いろいろなマナーも教えてもらってためになった。美術を選択して本当によかったと思う。
たか
中学校の勉強とは、まったく異なるわくにとらわれない授業だったが中にはつまらないものもあった。

まつ
実を言うと僕が美術を選択した理由はただ「音楽が嫌い!」であった。それで授業をやる前までは「オレは絵が下手だし、手先が不器用だし、いやだなあ」と思っていた。しかし黒木先生の授業は違った。絵が下手でもOK手先が不器用でもOKというような感じの授業だった。そのかわり、本当に想像力の必要な授業であった。すべて が最初の授業で「自分の作品はこうだ!」と決めることにかかっていた。人とはちょっと変わった考えをもっている僕にとってはとてもあっていた。僕が一番印象に残っているのは「5秒後の絵」だ。絵というものは瞬間をとらえているものだと思っていたが、2枚をかわねることによって何かその5秒間の絵の動きが想像でき、と てもおもしろく、1枚よりもその絵に関して理解できるようになった。また「全国高等学校デザイン選手権大会」、とても大変そうに見えたが、時間があったら僕も挑戦してみたかったような気がする。最後に、この1年間の美術の時間は今までの「美術はむずかしい、嫌い」という意識を変えるいい時間でした。ありがとうござい ました。加えて一言美術のレポート(第2,4定期試験の美術テスト対策勉強も含む)が、すべてのテスト勉強の中で、一番手間がかかり一番時間を要した。)

ゆみ
作品をみる目がかわった。ありがとうございました。

ふじ
明らかに今まで会った美術教師の中で新しいタイプの人だという印象をうけました。また、けっこう若そうなのに自分の考えを常に持っていて、積極的に生徒にその考えを言う人なんだなあとも思いました。(以上黒木先生についての感想)授業というと、これまた変わっていると思いました。自分が知らない美術の表現手段ばかり を授業でやりました。すべてが初めてな気がして、戸惑いました。今までの美術の授業は趣味感覚で楽に楽しくできたのに、高校での授業は自分の満足するような作品を作れなかったような気がします。これからはもっともっと視野を広げて柔軟な心を身につけたいです。満足するような作品を作れなかったといいましたが間違えま した。最終課題であるボロフスキー作「カウンティング」は美術作品か否かについてのレポートはかなり充実感でいっぱいです。これからも「世界で初めて」の美術の授業を目指して頑張ってください。

M.A
黒木先生は今までで美術を習ってきた中で一番個性的な先生でした。「普通じゃない授業」をしてくれたのでとても楽しくできました。
S.A
黒木先生はとても個性的な先生で授業内容などはとてもたのしい企画ばかりでした。人生の中の美術の授業の最後の先生としては最適な先生だったと思います。

N.N
正直言えば少しがっくりした。ノーマルな美術、例えば写生、彫刻などを多く取り入れてほしかった。先生のオリジナルな授業は、学期に1つずつあるくらいで良いと思う。

U.A
こんなに楽しくおもしろい(先生のギャグはすべるけど)美術の授業は今までではじめてです。環境の悪い横手高校だからできた美術だったと思います。ぼくとしては、こういう授業のほうがよかったです。これで人生の美術の授業は終わりかと思うとさびしいけれど、美術館にデートした時ちょっといばれるぐらいの知識はほしい なあと思います。1年間ありがとうございました。

K.A
小、中でやったこととは全然ちがった授業だったので毎回楽しみだった。



H.S
まず高校の芸術で驚かされたのは中学の内容と全く違い、描いて色をぬるという作業がなかったということだ。最初にやった「自分の店」をつくる作業は本当に困った。普段多くの事に接しているわりにはその時本当に自分が大切な物など少し考えなければ浮かばなかった。その点でこういう風に(別図)自分の思ったことを思った ままに書いていくのはすらすら書けたような気がする。(但し、最初の10分、20分は2、3個しか考えつかず苦労したが)次に大変だったと思ったのは模写だった。私は絵を描くことが好きなのでこれは簡単だと思って期待したが見事に裏切られた。とても難しかった。模写の対象となった作品を3つも変えたくらいだったから 。ともあれ色ぬりはあまり上手にできなかったにせよ、頭の中で浮かんだことをそのまま描けたと思う。あと本当に後半にやったスライム作りは楽しかった。高校に入ってから汚れたことがほとんどないので貴重な体験だった。あと新聞から文字を切り抜いてはっておもしろい文をつくる作業や、だまし絵などは頭のよい体操となっ て黒板に向かってばかりの自分たちにはよい眠気覚ましとなった。もう授業で芸術をやらないとなると残念な気もする。決して勉強しやすい環境とはいえなかったが、今年一年の成果は将来役立つだろうと思う。楽しい一年だった。

N.T
今年一年の美術は、中学のころとはぜんぜん違ったもので、今までやったことのないようなところが楽しかった。授業も最後の方になって先生の作品を見たときは、やはりこの先生はすごい人なんだと思った。奥が深い先生だと思った。美術を選んでよかった。一年間どうもありがとうございました。

H.T
一年間授業をうけさせてもらってありがとうございました。特にCMが楽しかったです。小学校から習ってきた美術がこれで最後だと思うとちょっとさびしいです。

T.F
うちの中学校は3年生あたりから音楽と美術が選択になっていたのでその時美術をとっていた僕は高校に入学する時、とりあえず美術を選びました。中学のとき美術の授業といえば絵をかくことと粘土で何かをつくるのが大半でした。しかしそれが当たり前だと思っていたので、この美術の授業は一年間を通して新鮮でした。従来の 美術の授業に比べて積極的に取り組むことができたと思いました。授業とは思えないほど楽しいときもあってよかったです。

Y.K
最終課題はさすがに難しかったなあ。やっぱり、自分がいいなあって思ったものが一番いいんだよね。だって、もしかしたらカウンティングが概念芸術っていう作品の一つって言われたから「無罪」って考えてたかもしれないし・・・。ってコレ、誰にも聞かれてない・・・よ・・・ね?今まで一年間ありがとうございました。入学 前は、「“写生”とかやるのかなあ・・・・。」と少し高度(!?)になった美術を想像していましたが、この1年の授業もある意味で高度(汗)でした。小中学校とは違い(中学校では少しやりましたが)、考える美術をしたなあ・・・と感じました。どの学校よりも、すばらしい授業ばかりだったと思います。さすが横手高校、 いやいや黒木先生様様です。言っていいことかわかりませんが、遊び感覚で受けられました。本当に充実した美術だったと思います。ありがとうございました。

Y.Y
一年間お世話になりました。先生の授業はいつも奇想天外で、とても楽しく参加させて頂きました。一年でこんなにいろいろやらせて頂いたのは初めてです。コンデスミルクのように濃厚な体験でした。いつも完成が遅くてすみませんでした。特に今回は判決理由を文章にまとめるということで二倍苦労しました。(国語の先生とツ ルんでませんか?)時間が足りなくて不本意な出来です。もっといろんな作品を作りたかったのですが、進級できれば私は2年生。芸術の授業はもうありません。すごく心残りです。今思うと、あのときはもっとこうすればよかったとか、あんな手もあったのに!とか後悔ばかりです。だーーーっ!!悔しいったらありゃしない!! ・・・・スミマセン、エキサイトしました。と、いうワケで私の創作意欲は衰えません。今後も、夜中に新聞を切り抜いたり、おかしな写真をとったりしていることでしょう。良いのができたらお見せするかもしれません。お楽しみに。ありがとうございました。今回の課題でN先生からはアドバイスや資料をたくさん頂きました。 すごく助かりました。黒木先生によろしくと言ってました。大曲吹奏楽団はとてもステキです。また聴きにいきますよー!Y先生にヨロシク。

F.K
楽or快芸術は人を選ばず

T.S
出来上がってみたらわけのわからない文章になっていた(これもコンセプチュアルアート?)。意味がわからないかもしれないけど、少しでいいのでわかって下さい。今回の課題に関しては、とても難しい問題でした。まず、肯定、否定、どちらに立てばいいのかとても迷った。迷った末、あえて否定にについた。が、とても勉強に なった。肯定もわかったし否定もわかった。芸術についてこんなに深入りしたのははじめてだ。自分で考えて今回一番勉強になったのが、レポートの一番おわりの部分だ。あれはよく考えたら感想だった。(感想としてみて下さい)本当に金持ちだけのものになってしまうおそれがある。大変だ。とても考えることができた。よかっ た。ということでこれから一生つき合っていく芸術をもっと身近に、大切に考えることができた。そしてこれからも身近に大切にしていきたいと思います。

Y.N
1年間どうもありがとうございました。どんな数学などの授業よりも頭を使ったかもしれません。先生の持論、感動しました。世界でたった一つの授業・・・・。いい響きです。この文章からすると僕が1学期のテストでかいた「太陽も芸術作品」というのもまんざら嘘ではないはず。

Y.S
今回の課題についての感想・このレポートで自分の中の「写実的=すばらしい」という今までの単純な思想を変えることができた。・もっと多くのボロフスキーの作品に触れてみたかった。・内容をもっと濃いものにしたかったが、資料・時間だ不足していた(反省点)・レポートの書き方、資料の調べ方がわかってよかった。(大 学ではこれが日常になるかと思うとおそろしい)・現代アートに興味をもったので、いろいろ調べてみたい。(資料を調子にのってつけすぎました)一年間の美術の感想美術はどの課題も新鮮ですばらしい授業でした。美術を通して自分の表現力、アイディアのなさ、作業のおそさに気づくことができました。なのでディベートの授 業は大変耳がいたい思いをしました。今まで美術を楽しみに学校へきていた私にとってこれからは重い足どりの毎日になりそうですが、この授業で学んだことを生かしてがんばっていこうと思います。一年間ありがとうございました。

T.S
まずこの課題の感想はずっと書いているうちにわけわかんなくなった。一言ですむものを長く書きすぎておかしくなったような気がする。この一年美術をやって、もちろん普通の授業したかった。普通の授業の中に変わったことをするからおもしろくやっていける。でもいろんなことやっておもしろかった。

H.S
とてもオモシロイ授業をうけさせていただきました。小学校の頃はあまり図工が好きではなく、特に「町の風景をかく」とか「友達の顔をかく」とかというのが苦手でしたが、中学に入ってからは(写実的な)絵をかく授業が一気にへりました。個人的には「ラッキー」という感じで、中学校ではけっこうかわった授業を楽しんでい ました。高校に入ってからもユーモラスな授業がもりだくさんでしたが、私が1番すきなのは絵画鑑賞の授業で、絵の見方も、中学の頃とだいぶかわりました。それからは写実的な絵画にも興味をもち、美術室の画集をみているときに「この部分どうなっているんだろう・・・」と思い、じーっと目を近づけてみると印刷の赤黄青の 点々がみえてしまうので、初めてほんものの絵を見たいと思うことができました。美術史も、もっとじっくり勉強したいと思ったけれど、運悪くうちはびんぼうで、私には才能もないから美大には入れないので、もうこれで美術の授業はおわり。さみしいです。でもうちでインターネットができるので、これからもちょくちょく美術 の授業をのぞいてみます。1年間、どうもありがとうございました。

N.I
1年間を通して、芸術は他の授業と比べると非常に肩のこらない授業だった。個人的には1人で黙々とやるデスクワークはこの世の嫌いなもののベスト10に入るくらいだ。やっぱり人間体を動かして、人と接しないとダメだ。授業で印象に残っているのはCM作りだ。普段何気なく見ているCMも、裏での苦労を考えるとしみじみ してくる。2、3年で芸術が無いのはとても残念だ。これで人生最後の授業になるかもしれないが、楽しく有終の美を飾れたと思う。そしてこのレポートは、この1年の美術の集大成なので、持てる力を全てふりしぼったつもりだ。

M.T
先生の授業で「これやったことある」というのは1つもありませんでした。そのことに一つ驚いています。授業で使ったプリントに「美は余裕が求める徒花か」とありました。それについて身近かにいる人々と少し話し合ってみました。私達が出した結論は「その人、その人の考え方による」でした。どんなに余裕がない人でも、豊 かな感受性があればその人の人生は美と共にあるはずです。反対に余裕があっても、美を感じる心が無ければ何も求められないと思います。美は余裕が求めるものではなく、心が求めるものだと思います。1年間ありがとうございました。

kurokuro.com Hub Site←黒木さんが開設しているwebサイト

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by yumemasa | 2008-11-26 23:35 | Comments(0)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明
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