
私の学校には障がい児の学級があります。この絵は、その学級の生徒が(知的障がい)描いたものです。指導を終えた先生がいつも見せてくれます。上の絵は校外学習で「
道民の森」という所に行って来た思い出を描いたものです。お話をしながら描き進めていったのだそうです。私が「おそらく、絵の中でもう一度トロッコに乗っているんじゃないかなあ」と言うと、深くうなずいていました。

下の絵は、学級園で育てた「アンデス山芋」を収穫している場面です。やはり、この時も描いているとき、いろいろ話していたそうです。そして、「芋でカレーライスをつくろね。」と言ったらニコニコしてまた描き進めたのだそうです。
この先生は、特別図工の指導が得意だとか、専門的な知識を持っているわけではありません。しかし、非常に学ぶべきことの多い実践です。
題材の設定がよいのです。子どもが描きたくなる、表したくなるそんな題材を設定しているのです。
またいつもそばに寄り添って、子どもから絵の話を聴いていますから、子どもも喜んで描くようになります。特に上の絵で細かく描かれているものや、その時の楽しい様子を、その先生は全て知っています。
絵を通して、その子を受けとめていると思うのです。その先生との会話も、色がどうだとか形がどうだとかという話にはなりません。子どものことが話題になります。
この絵のよさは、描きたいから描いた絵であり、その子がこの世に生きているからこそ、生まれてきた絵です。そして。子どもは描くことを通して共感してもらっています。だから。描いていてうれしいのです。
★追記…後日、職員室で指導された先生にこの記事をお見せしたときのことです。ぱっと笑顔になって「○○くんの絵だあ!」と声をあげてくれました。この絵を描いた○○くんが、可愛くてしかたがないのです。彼を受けとめているということなのだと思いました。記事には照れていましたが、本当のことを書いただけです。